財務戦略としての内部留保

国会でも内部留保の厚い日本企業に対し、それだけ内部留保できるなら賃金をアップして社員に還元するべき等々、まるで内部留保の厚い企業は”悪”のような言われ方をされていることをよく耳にしました。

しかしどうでしょう、今回のコロナ危機で大手日本企業の大部分は内部留保の厚い財務体質があるがために困難に対し冷静に対応できています。これが財務基盤が弱ければ今頃倒産ラッシュでしょう。

そもそも内部留保は、収益に対し適正な納税を行った上で残った部分の積み立てです。納税後の僅かずつを毎年積み上げることによって内部留保は厚くなっていくもので、トヨタと言えども毎期の汗の結晶を長年積み上げてきたからこそ今の財務体質があるのです。

これは中小企業も同じです。目先の納税を惜しむあまり内部留保を怠り、財務体質が弱い企業は今回のコロナ危機を乗り越えられないでしょうが、万が一に備えて内部留保に努めていた企業は、強い財務体質を背景に金融機関からの信頼も厚く、今回の危機も乗り越えていかれることでしょう。税理士の方の中には、節税指南として利益を会社に残さず経営者一族の個人でプールすることを進められるようなケースもあります。しかし、個人口座に入ったお金がきちんと管理されてプールされるものでしょうか?

経営に逆転満塁ホームランはありません。毎期の利益を確実に確保し、正しく納税し、内部留保を積み上げていくしかないのです。自己資本比率が30%未満の企業と70%を超える企業では金融機関からの資金調達に際しても金利も異なってくるでしょう。また、ここというチャンスを逃さず思い切った投資が出来るのは自己資本比率の高い企業です。松下幸之助氏の推奨される「ダム式経営」もコップ一杯の水をためるところから始まります。コップ一杯の水も必ずダムに繋がると信じて財務基盤の強化に努めましょう。

≪ESマネジメント

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